助成金事業
日本財団助成事業
海洋教育を通した地域と人作り (海と日本2023)
背景と目標
世界に誇れる綺麗な海などの優れた環境がすぐ近くにあるにも関わらず、海に行く機会が少なく、海の中を見たこともあまりありません。海等の自然環境の産業や観光についてあまり関心がなく、自分たちの地域の特徴を活かしていく事ができずにいる現状がある。
世界的に認められる優れた場所ですが、海ゴミの増加やサンゴの白化など大きな問題になっている。地元の人は自分たちの環境が壊れていっている事もどんな環境状態なのか知らない。その環境を守る前にどれだけ多様性に優れた場所なのかを知る必要がある。
観光が地域のリーディング産業なのにも関わらずそれを支える自然環境についてあまり関心がない。海洋産業(ダイビング・スノーケルなど)は県外の人が営んでいる場合が多く、県外からの観光客に対して行っている産業に過ぎないと思っており、身近に感じていません。また海は怖い場所だという文化が根付いており、進んで行く機会を作りません。もっと触れ合い身近に感じることで、自然環境のことや産業を考える機会を作り、地域の活性化を考えて欲しい。
正しい知識と技術を提供する事で海に触れ合う機会を増やし、恐怖感を払拭し、まずは楽しいや面白い場所などプラスの要素を共感する事で関心をもってもらう所から始める。実際に海の中を見る事で海の環境や現状の問題について体現的に学んでもらう。学校と連携して社会的に必要な体験や知識という認識を高めてもらう。実際に触れ合い、環境保護や改善などの知識を得て関心を持たせることで、自分事として認識させる。
活動を通じて現在の状況に実際に触れ、どのように保護、改善していくかを知識として習得していくことで関心を持たせ、自然環境保護・改善に向けての積極的な関与ができるるように後押しし、地域住民が一丸となって実行していける環境を作り上げる。地域の産業にも興味を持ち、将来に向け、先進的な取組みで地域を活性化する人材を育成する。
地域の小学校への海洋教育
1.小学生向け海洋教育
(1)時期:2023年5月
(2)場所:恩納村(安富祖小5年、恩納小6年、山田小6年)読谷村(渡慶次小6年、喜名小6年)宜野湾市(普天間第2小6年)(小学校6校実施)
(3)参加者:515名
(4)内容:サンゴ生態系保全の授業、水難防止安全海洋シュノーケリング、ビーチクリーンの授業、海の現状を知り守るためにインタープリテーションを使い伝える授業。地域の子どもたちが、地域の海を楽しく知り、実感体験して、課題を知り、それを伝えるという事で地域の良さを認識して自分事で動いでもらえるようにする授業。海洋シュノーケリングにより海の楽しさとライフジャケット着用などによる水難防止の観点を身につけ、サンゴの保全から海ゴミ問題という所まで自分事で理解してもらう。そこで知った事を発表して伝える技術を学ぶという事業。
1回目:サンゴ保全の授業
2回目:海洋シュノーケリング
3回目:ビーチクリーンの授業
4回目:インタープリテーション
教育的効果:海洋リテラシーの向上(生態系の理解、説明する力)課題を自分事にして考える力の向上、郷土愛の向上
実施時期:23/5~24/3
. 小学生向け海洋教育キャンプ
1.SDGs美ら海大冒険キャンプ
対象:海洋教育を受けた小学生で更に海の事を学びたい小学生
SDGsを意識した刺し網漁体験、サンゴ苗、養殖場見学、野外炊飯等
内容:普段から海に関心のない地域の子どもたちが海の資源(水産)も知ってもらい体験してもらい命の大切さを知る体験をする(伝統漁からサステナブルシーフードを学ぶ)。また魚の住処を作るサンゴを保全していく事でサンゴの重要性を知る。(サンゴ苗作り)
実施時期:23/7
2.親子海洋教育体験キャンプ
対象:海洋教育を受けた小学生で更に海の事を学びたい小学生と子どもに海遊びさせたいけどやり方が分からない保護者
シュノーケル、SUP、ビーチクリーン、海洋教育、野外炊飯、テント泊等
内容:海遊びをしたことがない親子に海洋教育を指導して今後親子で海遊びが出来るように指導していく。(シュノーケル、SUP、ビーチクリーン、環境保全のお話)
実施時期:23/10
地域の中学校や高校への海洋教育
実施中学校、高校:うんな中サイエンスクラブ、興南アクト部、沖水サイエンス部
内容:地域の子どもたちが、地域の海を楽しく知り、実感体験して、課題を知り、それを伝えるという事で地域の良さを認識して自分事で動いでもらえるようにする事業。うんな中はダイビングをライセンスを取る事で村のサンゴの保全イベントでサンゴの植え付けなどに関われるようにする。海洋シュノーケリングにより海の楽しさとライフジャケット着用などによる水難防止の観点を身につけ、サンゴの保全から海ゴミ問題という所まで自分事で理解してもらう。そこで知った事を発表して伝える技術を学ぶという事業。自分達の地域の資源をどうやって活かしていったらいいのかを考える事業。
・うんな中サイエンスクラブ
1回目:サンゴの保全授業
2回目:海洋シュノーケリング
3回目:ダイビングの学科授業
4回目:ダイビングの学科授業
5回目:ダイビングの海洋実技授業
6回目:ダイビングの海洋実技授業
7回目:サンゴ養殖場シュノーケリング見学
・興南高校アクト部、沖縄水産高校サイエンス部
1回目:サンゴ保全の授業
2回目:海洋シュノーケリング
3回目:ビーチクリーンの授業
4回目:インタープリテーションの授業
教育的効果:海洋リテラシーの向上(生態系の理解、説明する力)課題を自分事にして考える力の向上、郷土愛の向上
時期:23/5~24/3
海を伝える指導者講習会
4.海を伝える指導員育成講習会
1回目 学校の先生対象海の指導者講習会
内容: 海洋スノーケル、サンゴ苗作り、サンゴ養殖場見学、ワークショップ
別々の地区の先生が集まり、海洋スノーケリング実習を実施。器材の付け方や使い方、バディワーク、泳ぎ方を指導。サンゴの苗作りやサンゴの養殖場を見学する。多様性や保全という所も体感してもらう。その後ワークショップや海洋教育導入事例なども紹介しながら、取り組みの意義やどのような形で学校教育へ導入していけるのかなどを議論する。
実施時期:23/8
2回目 大学生対象 海の指導者講習会
内容: 海洋レスキュー、リスクマネジメント講習、カヤック、スノーケル実習、海洋教育、ワークショップ
大学生に海洋教育指導者としての実習を実施。泊まり込みのため、講習や実習の時間を多く実施。海洋研修としてはスノーケリング実習(器材の装着方法、使い方、泳ぎ方、バディワーク)海洋レスキュー(引き揚げ方、CPR&AED)、カヤック(風の読み方、漕ぎ方)、リスクマネージメント講習、自然体験指導員としての対象者の理解、自然の理解、インタープリテーションの方法、海洋教育の展開方法、海辺での野外炊飯、海辺でのテント泊、ワークショップなどを実施。
実施時期:23/6
目標達成度と結果
アンケート調査の結果は、海への関心度上昇4.5評価(5段階評価中)参加者の満足度4.5評価。地域に対する愛着の形成度4.5評価。90%以上の達成度を得る。その他自分の考え方がすごく変わった4.5評価。これからの暮らしにとても役に立つ4.5評価。知らない事がたくさんあった4.5評価。自分の行動を変えようと思う4.5評価。お家の人に是非話したい4.5評価。コメントとしては、「サンゴはいろんな形が違うのを初めて知ったどうしてだろうと興味を持ちました。」「海のためにゴミ捨てしない。」「自分達地域がこんなに特別な事が知れて良かった大事にしていきたい。」「クイズなどを使ったり相手に興味を持ってもらえるように工夫して仲間を作っていきたい。」「自分たちの海を守りたい。」「もっとたくさんの人達に自分達の海を自慢したい。」という積極的な意見もあり達成度は高い。
指導者へのアンケート調査も4.5評価(5段階中)90%以上の達成度を得る。コメントとして、「初任者研修などに応用したい。」「次年度はもう少し広めたい。」「指導する機会が欲しい。」という積極的な意見もあり達成度は高い。
「この活動は自分達の地域の事を改めて理解して人に伝える事で自分達地域を見直す機会となる。改めて自分達地域の事を誇りに思う気持ちに繋がっていくだろう。」と活動の趣旨を理解してくれ共感してくれる指導者も作る事が出来た。大学生を海洋教育指導者にする事で地域の子どもたちへの海洋教育キャンプやイベントなどの事業で指導者を活かす事が出来る。次年度は他大学などへも指導者育成を広げていく事も必要だと考える。
やはり課題としては、学校の再編などで取り組みの継続が困難になる事や他分野教科の授業時間が増えていくため新たな教育分野である海洋教育にだけ時間を割く事が困難という事である。先生方の負担を少なくして教科横断型の授業として海洋教育の意義を残しながらキャリア教育や社会教育、地域教育としての観光教育としての再編を視野に入れて準備をする事が必要だと考える。教員に対しての指導者研修も教育委員会などを絡めて検討段階にあり、海洋教育の理解者を広めていきたい。地域の魅力である海の環境を持続可能な形で活かせるような地域の人材育成に寄与する事が出来る海洋教育に展開していきたい。